日中関係の影響で訪日スキー客減少 中国国内リゾートに需要集中、混雑や課題も浮上

ブルームバーグの報道によると、日中関係の緊張を背景に、中国人スキーヤーの旅行先が日本から国内リゾートへと大きくシフトしている。特に、高市早苗首相の台湾有事に関する発言に対し中国側が反発し、日本への渡航自粛を呼びかけたことが影響したとみられる。
これまで毎年、家族で北海道を訪れていた中国人旅行者の中にも、今季は計画を変更し、国内スキー場を選ぶ動きが広がっている。背景には政治的要因だけでなく、ビザ不要、言語の壁の少なさ、費用の安さといった利便性もある。
マーケティング会社China Trading Deskの推計では、中国から札幌への予約は2026年1~2月に前年同期比で約62%減少。一方、吉林省の人気スキーリゾートである北大湖ではホテル予約が最大70%増加し、国内需要の急拡大が確認されている。
中国では過去10年で約900のスキー施設(屋内ゲレンデ66施設を含む)が整備され、ウィンタースポーツ市場は急成長。SNS上では国内スキー場の体験談が多数投稿されているが、「混雑で滑る気が起きない」といった声も目立ち始めている。
一方で、長期的な需要定着には課題もある。スキー旅行プラットフォームのサミットスキー・ツアーは、国際的なスキーヤーを呼び込むためには、食の衛生管理やゲレンデでの禁煙ルール整備、外国人へのサービス向上などソフト面の改善が不可欠と指摘。現在の中国は、世界の観光客にとって「20~30年前の日本のような存在」だとして、さらなる環境整備の必要性を強調している。

こうした状況は、日本の観光業界にも大きな影響を及ぼしている。特に北海道や長野、群馬などの主要スキーリゾートでは、中国人旅行者の減少による宿泊施設やスキー教室の空きが増え、冬季収益への打撃が懸念されている。関係者によると、「例年なら1月は予約がほぼ満室だが、今年は空室が目立つ」と嘆く声もあるという。これに伴い、一部のホテルやリゾートは、国内客や他国の観光客向けの割引キャンペーンやパッケージプランを急遽設定する動きも見られる。

一方で、国内スキー場に需要が集中している中国側では、設備やサービスの充実が急務となっている。既存のゲレンデやホテルでは混雑が深刻化し、予約が取りにくくなるなど利用者の満足度低下のリスクも指摘されている。また、スキー指導者やリフトスタッフの対応能力、食事の質、交通アクセスの整備など、ハード・ソフト両面での改善が求められており、短期間での受け入れ拡大には限界があるとの見方もある。

専門家は、今回の動きは単なる政治的影響だけでなく、アジア圏におけるスキー市場の成熟度の差も浮き彫りにしていると分析する。中国国内のリゾートが短期的には恩恵を受ける一方で、世界水準に近づくためにはさらなる投資と規制整備が不可欠だという。また、日本側もリピーター減少のリスクに対応するため、柔軟な受け入れ策や多言語対応、観光プロモーションの強化が課題となっている。

こうした動向は、日中両国のウィンターツーリズム市場における今後の競争構造にも影響を与える可能性が高く、業界関係者は「短期的な調整ではなく、中長期的な戦略が求められる」と慎重な見方を示している。国際的な観光資源としてのスキーリゾートの価値を維持するため、両国ともにサービス品質と運営体制の向上が急務となっている状況だ。
引用
https://news.yahoo.co.jp/articles/06ed555ad9f2d34ed9af42809db038ba5af9f02d

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